午前3時半に携帯電話が鳴った。
「もしもし、yasaiで〜す。寝てました?」
「寝てましたよ。ぐっすりと!」
COPENIFESTA2の1日はそんな風に始まった。
まだ暗い窓の外を見ると雨、雨、雨。キツイ1日になりそうな予感がした。
サーキットに到着して準備を始めていると、レーススタッフとイベントスタ
ッフに手を挙げてくれた人たちのCOPENが集まってきた。朝早くから本当に
感謝、感謝だ。さっそくレーススタッフの皆さんをピットに送り出す。

クモイさんがこの日のために開発した「アクティブトップ・リモコン装置」
のデモンストレーションを見せてもらったりしているうちに、COPENの数が
どんどんと増えていった。こうなると遊んでいられない。Ken×2さんに手伝
ってもらいながら、どんどんと受付だ。
こんな大金持ってるのいやや〜、と思いながらも今日のうちにFISCOとお弁当
やさんに払って、残りはT-シャツやさんに払ったら、全部なくなると思うと、
ちょっと寂しい気もする。

そうこうするうちにレースがスタートし、赤旗中断し、再スタート。
あっという間にパレードランの時間が迫ってきた。
まずはオリエンテーション。「スピードを出しすぎないように」「誘惑にから
れてコーナーを攻めないように」などなど、まるで自分が1年前に教習所で教
えてもらったようなことをみなさんにクドクドと説明するなどとは夢にも思っ
てもみなかった。
エンジンに火をいれて、コースインするヘアピンコーナーへと向かう。
そして待って待って待って、もういい加減帰りたくなった頃、パレードを先導
するペースカーがやってきた。

コースイン。
さすがにコースインの瞬間は緊張した。まさか自分のCOPENが富士スピードウ
ェイを走るなんて。それも自分のドライブで!
MCコーナーを抜けて300Rにさしかかったとき、朝のレースで起こっていたア
クシデントの意味が分かった。夕べからの雨で、なんと300Rは「池」になっ
ていたのだ。ここをレーシングスピードで突っ込んでいけば間違いなくハイド
ロプレーンを起こす。

最終コーナーを登ってホームストレートが見えた時には更に興奮が増した。
テレビでオンボードカメラを通して見ていたものそのままを、今自分が体験し
ているのだ!思わず右足に力が入って、うっかりペースカーを追い越すところ
だった。あぶない、あぶない。

長い長いストレートは本当に一服できそうだった。SCUDERIA E-S-Dのピット
までしっかりと確認ができた。
そしてやってきた1〜2コーナーは予想以上に下っていた。テレビで見るレー
スでは、よく1コーナーで飛び出したり回っちゃったりしてて
「なんだへたくそ」と思っていたが、こりゃ他車と競っていて思いっきりブレ
ーキングを遅らせれば・・・。
でも全コーナーの中で1コーナーからサントリーコーナーへのアプローチが
一番好きだ。このコーナーは毎回ワクワクさせてくれる。

3周目の100Rにさしかかったとき、最後尾が見えた。
一瞬「FISCOのコースがCOPENで埋まった!」と喜んだが、すぐに途中で間隔
をあけて「トライ」しているヤツがいることに気が付いた。
自分も何度もその衝動に駆られたからすぐわかる。
そして4周目の最終コーナーを立ち上がった時、携帯電話が鳴った。
最後尾をお願いした雲井さんからだ。
「1台、1コーナーで回ってますぅ」
1コーナーが見えてくると、確かにコース上で1台がこっちを向いて止まって
いる。一瞬事故を心配したが、他に車もなく単独スピンのようだった。自ら立
て直してパレードに復帰していったので、ホッと胸をなで下ろした。

100Rを抜けヘアピンが見えてくると、ペースカーはコースの右端に寄り、パ
レードランの終わりを告げた。

グランドスタンド裏に戻り、次々と車から降りてくるみんなの興奮した顔を見
たとき、この企画をやって良かったと確信した。そして、もうこのコースは走
れないんだなと思うと、少し寂しい気がした。

ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。